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フランス香水屋。

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そのINSTITUT PARFUMEUR FLORESという名の香水屋は、イリツァ通りから少し北へProlaz Ivana Dežmana通りに入ったところにちょっとひっそりと、ある。パリの片隅かひょっとしたらアジアのどこかのようなシンプルな、なのにどこかこってりした店の雰囲気、店の前のオープンカフェの椅子とテーブルも他とはちがい軽い水色だっていうのも、そのほとんどが濃い茶色やメタルなザグレブではちょっと珍しかった。

壁に隙間なく乙女心がそそられる色とりどりのガラス瓶のキャンドルや香水、フランス語の書かれた石けんが並び、店内のカフェコーナーには、マリアージュフレールの紅茶、眺めてるだけでも美しいハーブソルト、ジャム、そんなフランスご自慢の品々が陳列するこの香水屋のエントランスでマリアとワタシ、かばんの底の財布の存在が気にならずにはいられない。そんなドキドキにちょっとニヤッとふたり、顔をみあわせながら一歩足を店内に踏み入れれば、いくらツンツン鼻高々なザグレブといえども所詮は人懐っこいクロアチア。金髪ショートヘアーがよく似あう白衣の香水師のおねえさんも気さくに「これはどう? じゃあこっちは?」もう嗅覚がくらくら混乱するくらいに、シュッ、シュッ、ローズに無花果、たばこの香の白い細いペーパーを差し出す。

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「それじゃあこんなのはどうかしら?」ワタシの左腕に、シュッ。・・・あれー? なーにこの懐かしい香り。「ふふふっ、日本のお庭の雨上がり。」アニック・グタールのアン・マタン・ド・オラージュ。くちなし。そうだった、うちの前の垣根からくちなしや沈丁花が雨上がりにはくらくらうするほど強い芳香を放ってたっけ、と七条の裏路地の、いや公園下の白鳥路だったかもしれないなと左腕から放たれる思い出パズルを埋める。マリヤが気に入ったというヒマラヤなんとかは、白檀があまりにも馴染みあり過ぎて、読経か瞑想でもはじめてしまいそうなそんなありがたーい香りだったけど、お財布にはまったくありがたくなーいカンジ。「ちょっとかんがえてからまた来まーす、フヴァラー(ありがとう)」と冷やかしだったわけじゃないのよと、店の前のカフェに腰掛けながらふたり、腕をくんくん・・・、ふはーっ、ふわふわ、フランス香水とアジアの記憶の融合にチョット、幸せな気分なザグレブの夏の午後。


INSTITUT PARFUMEUR FLORES
Address -
Prolaz Ivana Dežmana 2(Dežmanov prolaz 2)
Zagreb 10 000 CROATIA


(*ザグレブの中心街などでは一般ウケする人気ブランドの香水を扱う化粧品店もたくさんありますが、こういった本格的な香水屋はヒジョーに珍しい。と思いますデス。)


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by adriatic-sea | 2010-07-06 21:50 | ホリダシモノ