ネクタイは愛のしるし

男性のおしゃれや正装には欠かせないネクタイ。

でもこのネクタイ、食事中にナプキンの代わりになるとか何か特別な機能的役目を果たしているわけでもなく、風でも吹けばひらひらと舞う。女性もちょっとした男性への贈り物にネクタイを選ぶことも多い。

クロアチアの首都、ザグレブのとある本屋さんで一冊のこんな絵本を見つけた。

17世紀のはじめにヨーロッパで起きた30年戦争(1618 - 1648)と呼ばれるカトリックとプロテスタントとの戦いでのこと。当時オーストリア帝国の支配下だったクロアチアの若者も、この長い長い流血の戦いに参加しなければならなりませんでした。

クロアチアのある村の青年は、その夜にはいつ戻れるともわからない戦場に向かうことになりました。やがて村に夜が訪れ、彼は同じ村に住む恋する美しい娘の元へ「さよなら」を告げに行きました。そこで娘は彼女のつけていたスカーフをその青年の首にそっと巻きました。

「忘れないでね」

青年は娘が巻いてくれたスカーフを一時も離さずに巻き続け、奇跡的に戦いを生きのび、戦友たちもその青年と同じように幸運の印として首にスカーフを巻くようになりました。首に巻いた幸運のスカーフのうわさは風と共に青年の故郷まで届き、クロアチアの村々では女たちは戦争に行ってしまう男たちの首にスカーフを巻いて見送るようになりました。

30年戦争でのクロアチア兵士の活躍はフランス王室の目に留まり、戦争が終わったパリには“La royal Croate”という王室クロアチア傭兵隊が設立されました。このLa royal Croateのクロアチア兵士たちが揃って首に幸運のスカーフを巻いていたのを見た当時のフランス王ルイ14世は、供の者に尋ねました。

「あれは何だ?」

「クラヴァト(クロアチア人)です。」

ルイ14世も同じように首にスカーフを巻いてみると、おしゃれ好きのパリの上流階級ではあっという間にそれは噂となり、首のスカーフはクラヴァトと呼ばれ当時の流行となりました。それがイギリスへと渡り今日のネクタイの形となって世界中に広まったのでした。


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